トロールは曳き綱、網の巻き上げ用ワイヤーロープ及びストッパーやフックの掛け替えなど、ワイヤーを扱うことが多くワイヤーロープに跳ねられたり、激突されたりの災害が多い。
d.伊豆
鰹一本釣り漁船船員の聞き取り調査を行った。この地区の漁業は、小型船の沿岸漁業、鰹一本釣り漁業及び巻き網漁業が主である。漁船員の入職者が少なく高齢化と乗船員不足を来たしている。釣りの技巧が必要なために船員の固定性が強い。操業は、小鯛(生き餌)が元気な一週間の内に近海で行う。漁場が巻き網漁船と競合したり、高速の鰹一本釣り漁船と競合等のため漁獲にばらつきがある。海上での安全対策として特別の設備を持ち込むと、慣れた釣り技術を駆使する作業がしにくくなる。作業上不都合があると折角取り付けた安全設備も外してしまう。操業中は緊張しており海中転落はほとんどない。あったとしても、皆が見ており、海水温度が高いこともあって救助できる。かつては「落ちても竿を離すな」という職人気質があったが、最近は隼を離すように指導している。海中転落は漁場への往復時が問題である。大抵は飲酒して舷外へ小用をする等不用意な場合が多い。船員としての基本的な心構えが大事である。釣り針に因る怪我防止のため、一時防御ネットをかぶったが邪魔で使わなくなった。
e.富山
いか釣り専用船の船団は新川船団(魚津市)9隻、新湊船団(新湊市)12隻あり、船団を組み4月から11月まではいかを追って九州から北海道までの沖合を移動しながら漁をする。水揚げ港はその都度変わる。操業パターンは夕刻出航.して2日間漁をして、市場の都合に合わせて帰港し、1日休息して出航する。
なかなか休息は取れず、帰港中も船の中で寝泊まりをする。12月から翌年3月までは富山湾内で操業する。操業パターンは午後2時か3時に出航して、漁るうした後早朝帰港する。魚価の低迷が続いているために富山においても人手不足と、漁船員の高齢化が進んでいる。
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